1 妹にきたお見合い話

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 ――終業時間まで、あと三分。  イレギュラーで引き受けた会議資料の作成も終わった。  作成した資料にミスがないか、チェック済み。   サッと椅子から立ち上がり、部署を回っていく。 「本日、頼まれた営業会議の資料です。展示会にかかる予算と会場候補をいくつか、私なりにピックアップしておきましたので、ご確認ください」 「えっ! 頼もうと思っていたのに、どうしてわかったんだろう……」  不思議でもなんでもなく、突然頼む社員が誰なのか、慣れてくるとわかってくる。  だから前もって頼まれそうな仕事は、先に終わらせておけば、いきなり頼まれることもなくなる――と思いたい。 「お先に失礼します」  今日もなんとか残業は回避でき、ホッと胸をなでおろす。 「ロボ、すごいな」 「今日もロボ先輩は完璧でした」  入社し、宮ノ入(みやのいり)グループ本社の総務部に配属されて、三年目。  会議の書類作成、お客様のお茶出しなどの雑務をこなしている。  そんな私は、この四月で二十五歳になる。  仕事を淡々とこなす私のあだ名は、『ロボ』と呼ばれていて、飲み会も業務中のおしゃべりも参加しないから、謎の人物。
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