18 決別

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 梨沙の言葉に、継母が恥ずかしそうにうつむくのがわかった。  継母に苦しめられたのは私だけではなかったのかもしれない。  私をいじめることで、継母に褒められて生きてきた梨沙は、人間関係がうまくいってなかった。  沖重本社で目にした梨沙が、普段の姿なら、友人と呼べる相手はきっといない。  やったことは許せないけど、今だからこそ、梨沙が可哀想に思える。 「これから先、私たちは深く関わることはありません。だから、未来だけを考えて、全員が幸せに生きていくことを祈ってます」  近くにいてはきっと傷つけあうだけだから。  それは継母も父も同じ。  父はなにか言いたそうだったけれど、首を横に振った。 「さようなら」  継母は何も言わず、私から顔を背けたまま。  すぐに人は変われないし、継母の恨みの深さを考えたら、追い詰めずに助けたほうがいいと思った。  せめて、過去だけを恨んで、未来は恨まずに済むように。 「悪かった。美桜。ありがとう」  父は深く頭を下げて、礼を言ってくれた。  それで十分だった。  気づくと、瑞生さんが私の手を握っていた。 「家へ帰ろう」 「はい」  私が帰るのは、瑞生さんがいる場所。瑞生さんと家族となった私はもう『宮ノ入美桜』。  沖重美桜をこの家に置いて、私は家を出る。  振り返らずに、前だけを見て――
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