18 決別

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 瑞生さんなら、もっと美味しいお店のパウンドケーキを知っているはずなのに、これでいいのかなと思いながら、切り分けた。 「八木沢さんもどうぞ」 「ありがとうございます」  なんだか、二人の機嫌がいい。  切ったパウンドケーキを皿にのせ、二人の前に並べると、私に仏のような笑顔を向ける。  ――なに、その悟り顔。こういう顔の時は、要注意なのよね。  二人はどこか似ていて、やっぱり兄弟だなと思う。 「またなにか良くないことをしたんじゃないですか?」 「そんなことないですよ」  八木沢さんが紅茶を一口飲む。  その穏やかな様子に、私は確信した。   「ちゃんと言ってください! 瑞生さん!」 「直真じゃなくて、俺?」 「だいたい八木沢さんが、なにかする時は瑞生さんが裏にいますから!」  私だって、学習するんです。  瑞生さんは私から目を逸らし、抹茶のパウンドケーキをフォークでつつく。  私の厳しい目に、パウンドケーキを口に運べず、とうとう降参した。 「美桜が支払ったお金だが、あれは全部戻ってくる」 「えっ?」 「闇金からの借金分ということでしたよね?」  涼しい顔で八木沢さんは言った。 「ま、まさか、その闇金って……」
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