18 決別

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「金融会社を一時的につくって、お金を貸しました。利子ってすごく高いでしょう?」 「高いですね。倍になるくらいって聞いたことが……」 「お金は巡って、全額返ってくるよう仕掛けましたから、大丈夫です。むしろ、プラスになるかもしれませんね」  あの感謝の美しいシーンが台無しだった。  どおりで瑞生さんも八木沢さんも、あっさり引き下がったと思ったら、すでに仕掛けた罠は発動し、終わった後だったというわけ…… 「それ詐欺じゃ!?」 「さー、どうでしょうねー」 「どうだろうなー」  私が財産を処分するって言い出すことも、瑞生さんは予想していたのだろうけど、すっかり騙されてしまった。 「そうそう。甥っ子の銀行員は左遷されたらしいですよ。まあ、無能が左遷されるのは当然のことですが」 「八木沢さん……。名前くらい覚えてください……」  いつの間にか、継母の実家である銀行にも手を回し、痛手を与えている。  一臣さんは今後、昇進は望めないだろう。  ――とんでもない二人だわ。  無邪気にパウンドケーキを食べているけど、この外見に騙されてはいけない。 「そうだ。美桜」 「はい?」 「直真の秘書になれそうな社員はいないか?」  さっきまで絶好調だった八木沢さんの表情が曇った。
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