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沖重の社長となった八木沢さんだけど、秘書の座争奪戦が繰り広げられていて、大変らしい。
「私と親しい人は、後輩の木村さんしかいないです」
「ああ。美桜さんの所持品を守った人ですよね。機転がきくのはいいことです」
「そうなんです! 明るい後輩で、頭の回転も早いんですよ。瑞生さんがくれた香水が、私の元へ戻ってきたのは彼女のおかげです……」
木村さんが私に教えてくれた。
『素敵なプレゼントですよね。その香水、自分のチャンスを掴んで逃さないって意味があるんですよ』
あれから、そんな経っていないのに、懐かしい気がした。
あの頃は、瑞生さんと私が結婚するなんて思っていなかったけど、あの言葉は、ずっと私の支えになっていた。
「この香水をつけて、瑞生さんと一緒に公園を歩きたいです」
「いいな」
「目の前でイチャつかないでもらえます? お邪魔みたいじゃないですか」
八木沢さんはため息を吐いた。
「こっちはしばらく、宮ノ入に戻れず、沖重グループに出向。瑞生様と会えない地獄の日々……」
「えーと、その……。八木沢さんなら、すぐに結果を出して戻れますよ!」
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