19 別荘

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「美桜の母親は、小さい頃から病弱で、この別荘を特に気に入っていたらしい。美桜を産んだ後は、亡くなるまでここにいた。とても幸せそうにしていたそうだ」 「幸せそうに……」  私は母を不幸にしてしまったと思っていた。  ずっと――   とても静かだった。  遠くで鳴く鳥の声が聞こえるほどに。 「それから、リフォーム業者がこれを見つけた」  瑞生さんは木の箱に入っていた写真をとりだした。  女性と赤ちゃんが写っている。  写真の裏面には『美桜三ヶ月』と書いてあった。  他にも私の幼い頃の写真が残っている。 「写真は全部、捨てられてなくなったと思っていました」 「屋根裏部屋に気づいていなかったらしいな。そこに美桜が使っていたベビーベッドやおもちゃと服も大事にとってあったぞ」    また涙がこぼれた。  私が愛されていた証拠。  お前のせいで母が死んだと聞かされていた私にとって、どれだけ心の救いになったかわからない。 「瑞生さん。ありがとうございます。今、見つかって、本当によかった……」 「今?」 「昨日、病院へ行ったら、妊娠していることがわかったんです」    そっとお腹を手で包み込む。
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