1 妹にきたお見合い話

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 継母は私を嫌っている。  よくある話で、私の母が亡くなると同時に、父の愛人だった女性が後妻に入った。  私の母と父は政略結婚で、父が好きだったのは、継母だったと、後に聞いた。  別れさせられた継母は、母を恨み、その娘である私も敵視している。  私の扱いに対して、注意した人たちは、全員ひどい目にあった。  継母はお金を使って、人を雇い、ありとあらゆる嫌がらせをし、追い詰めて、私と関わったことを後悔させた。   それを幼い頃から、幾度となく目にしてきた私は、親しい人を作らず、幸せにしているところを見せず、笑わずに暮らすのが、一番の平和だと学んだ。  ――他の人に迷惑をかけたくない。  少なくとも、私が関わらなければ、幸せに暮らせるのだから。 「ただいまぁ。もう疲れちゃったぁ~」  甘えた声が玄関から聞こえてくる。  異母妹の梨沙が帰ったようで、継母はリビングから梨沙を呼ぶ。 「梨沙、帰ったの? ほら、お見合いの話が来てるのよ! 梨沙は誰かさんと違って、可愛いから、結婚相手を選ぶのが大変ね!」  隣の家まで聞こえるんじゃないかというくらいの継母の声。
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