1 妹にきたお見合い話

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 その声に、梨沙の高い声が加わる。 「またお見合い話? 困っちゃう~。美桜にもわけてあげたいわ」  梨沙はお相手の写真を手に、私がいるキッチンまでやってきた。 「ねぇ。美桜、うらやましいでしょ? この人はぁ、ご両親が会社を経営していて、自宅にプールまであるんですってー」 「そうですか。それは、すごい相手ですね」  無難な返事を選び、グラタン皿を並べた。  夕食が希望通りのグラタンだとわかった梨沙は、さらにご機嫌になって、キッチンから出ていった。  無視すると、狂ったように暴れだし、嫌がらせをするので、適当に相手をしなくてはならない。 「お母様、聞いて~。社長令嬢なのに、コピーしろって命令されたのよ」 「まあ! 梨沙にそんなことを命令する社員がいるの? お父様に言いつけて、注意してもらいましょ!」  梨沙を注意するどころか、頼んだ社員が悪いというような口ぶりだ。  入社したばかりの梨沙がやれることといえば、限られているのだから、なぜそんなに怒るのか、私にはわからなかった。  たったひとつの仕事を渡されただけで、文句の山を言っているのが、キッチンにまで聞こえてくる。 
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