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フルボディーの渋みが口の中いっぱいに広がった。
「俺も確かに、あの結婚式の時に唯奈を見ていなくて、仕事ぶりだけを見たらそう思ったかもしれないな。でも俺が初めて会った唯奈は結婚式の唯奈だし疑ってないよ。さっきキスしてはっきりわかったし」
副社長の綺麗な口が弧を描いて微笑んだ後、ワインを飲んだ口元に目を奪われ、さっきあの唇にキスをされたかと思うと、カーッと体温が上昇した気がした。
「唯奈、顔真っ赤」
クスクス笑う副社長の余裕があまりにも悔しくて、「ワインのせいです!」とだけ返して、運ばれてきたスープに手を伸ばした。
「このお肉おいしい~」
うっとりと、レアに焼かれた牛フィレ肉を口に入れると、肉の旨味が広がり幸せな気分になる。
私は食べることも飲むことも好きだ。
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