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彼女の背中を包み込むように抱きしめて、甘いキスをする。
手を伸ばし、厚いカーテンを閉めた。部屋には蝋燭の灯りだけ。
「どんなのが好み?」
額をつけて聞いてみる。
「ワインのように、甘くて」
言葉の間に、頬を手で寄せ唇を塞ぐ。
「苦い、大人の…」
優しく上唇を食む。彼女の唇が応えてくれる。
首に回された彼女の腕を取って、自分のシャツのボタンに誘う。
お互いのボタンを外しながら、キスは続く。
シャツを脱いでソファの背に掛け、上半身裸になると、彼女のブラウスの裾を抜き取り、ゆっくりと肩から外した。
柔らかいそれも、ソファに掛ける。
裸になった肩に口づけ、背中を抱きしめながら、確かに彼女が自分の腕の中にいることを実感する。
彼女の手がゆっくりと下がって、僕の肌の感触を確かめるように動く。
それだけで、性急に進めたくなる自分をなだめながら、彼女のペースに合わせる。
腰に手を回し、スカートを落とす。
下着だけになった彼女を抱きしめたまま、ゆっくりとベッドに向かう。
そのままベッドに押し倒して、キスをした。
全ての指と指を絡め、彼女を見つめる。
「ずっとこうしたかった」
そう言うと、彼女は僕の目を見て、「ありがと」と囁いた。
それ以上、もう何も考えられなくなって、彼女の身体に溺れていった。
その後、彼女の気持ちが変らないうちに、僕らは一緒に住むようになった。
しばらく経ってから入籍したのだけど、お披露目の式はせず、自分たちだけのとっておきの結婚式をした。
それで、僕らは夫婦になった。
あの頃から2年が経った。
最初に会った記念日、お互いの誕生日、入籍記念日には、プレゼントを贈って、外で記念の食事をした。
入籍してから、彼女は変った。
僕に遠慮なく甘えてくれるし、時には甘やかしてもくれる。それが可愛い。
彼女が忙しいときは、僕が彼女の面倒をみる。
楽しいことは一緒に、大変なことは半分ずつ分かち合う。
それが彼女の求める夫婦のあり方だった。
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