足あと

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 カレーを食べて二階で寝た。ガタガタっと音がした。蒼汰が帰って来たのだろう。起きちゃったからカレーを温めてあげようか。私は一階に降りる。蒼汰は電話をしていた。 「愛してるよ」  私はドクンと心臓が鳴ったような気がした。蒼汰に彼女がいたんだ。いったいどんな女性だろう。 「お母さんのシティホテルに行くのはもうやめよう。春香さんがスリルがあって楽しいって言ったけど寿命が縮んだよ」  春香というのは隣の奥さんと同じ名前だ。まさか、相手は春香さん。私はドアをバタンと開けた。 「誰と話をしてるの?」 「同じ大学の子だよ。お母さん、聞いてたの?」 「耳に入って来ちゃったんだもの。本当に相手は大学生なの?」 「そうだよ。なにを焦ってるの?」 「隣の奥さんと同じ名前を呼んだから。勘違いしちゃった。彼女がいるのなら今度連れて来てよ」  蒼汰は手のひらを天井に向けた。 「分かった、分かった。お母さん寝てたんじゃないの」 「カレーを温めてあげようと思ったの」  私はそう言ってキッチンへ行った。サラダも盛り付けてあげよう。アボカドを買っておいて良かった。
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