足あと

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 隣の家の奥さんは浮気をしている。私はシティホテルでフロントのパートをしているがそこに隣の奥さんが来た。隣の家の奥さんは名を横川春香という。私が休憩が終わってフロントに来たのに気が付いて一瞬だけ戸惑った感じがしたが春香さんは口の端で笑った。見下されているような気がした。慎重に慎重を重ねているのかフロントを過ぎたのは春香さん一人だった。でも、調べたらツインを取っていた。パソコンを見ると旦那さんの名前じゃない。浮気相手の男と休憩していたのに違いない。何故旦那さんの名前を言わなかったんだろう。私は浮気してますと言いたいようだ。それにしても昼間から堂々と会うなんて神経を疑う。春香さんの家には子供がいない。浮気が本気なのだろうか。  私の家には大学生の息子がいる。去年が成人式だった。私は佐々木奈津江、息子は蒼汰だ。蒼汰はファミレスでバイトをしている。 「今日もバイトだから遅くなるよ」 「ええ、夕飯を作っておくから温めて食べてね」  私は口角をあげる。よく出来た息子だ。夫とは違う。夫は休日になると和室でゴロゴロしておならばかりしている。 「お母さんはパートでしょ。疲れてるんだろうから僕の分まで作らなくてもいいんだよ。帰りになんか食って帰ればいいんだし」 「それじゃ、バイト代が勿体ないじゃない。パソコンが欲しいんでしょ」  蒼汰は小説を書くのが趣味だ。ペンネームを知らないので読んだことがないがネットの小説投稿サイトに投稿しているらしい。今もパソコンで書いているのだが新しいパソコンを買いたいという。
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