打上花火とソウルフード

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そんなある日。夜になって少し落ち着いてきたフロアで、私は相も変わらずカチャカチャとキーボードを打ち続けてた。目の前に出てくるデータ、そしてまたデータ。 ペーペーにこんな機密情報扱わせていいのかよ、と思ったけれど、情報漏洩した瞬間、家族ごとこの世から抹殺されることも分かっていたからまぁ悪いことしようなんて気にはならないよね。 集中力を保つためにおでこに冷えピタを貼って頑張ってたら、煙草休憩に行っていた先輩が戻ってきて言った。 「おい、焼き肉行くぞ」 先輩たちはグルメな人が多くて、色んな美味しいお店を知っていた。かたや、私は薄給の新米ペーペー。みじめったらしい私の様子に哀れを催したのか、先輩たちは本当によくメシを奢ってくれた。 そんな中での焼肉。 高級焼肉。 そういえば最近ろくなもん食ってないな。私の鼻先に焼肉の美味しい匂いがぷーんと漂った、気がした。でもね、その誘いに嬉々として乗るわけにはいかなかったんだ。 だって、夜中の二時だったからね。 もっと付け加えるならば、多分、の、夜中の二時だった。
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