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翌朝。
頭痛で目が覚めた。
何時…… 6時か――――……。
……えーと……オレ、昨日どうやって……。
うわー。……なんも覚えてないけど。
……寛人ごめん……。
起き上がって確認すると、下に着てたTシャツと、下着しか身に着けてない。 帰ってきてズボンとかは脱いだのかな……。あーもう、ほんと覚えてない。
そのまま立ち上がって、リビングに入ると、スマホがテーブルに置いてある。
開くと、寛人からのメッセージ。
「これ見てるの、朝か?おぶったの、4回目だからな。もう今度奢れ。仁にお前の事任せて、今電車乗ったとこ。朝お前を起こすように仁に頼んだから。次は、ワインは禁止」
と入ってた。
……あ、やっぱり、また連れて帰ってくれたのか。
ごめん、寛人。
まだ早いので、メッセージは送らず。心の中で謝りつつ。
バスルームに向かう。
頭痛いし、風呂入ってないし、歯も磨いてないし、最悪。
仁にも迷惑かけちゃったな……。オレちゃんと自分でベッド行けてたらいいんだけど……。
次から、マジで、気を付けよう……。
シャワーを浴びて、少しすっきりして、そのまま歯を磨く。
冷たい水を流し込んで、ソファに腰かけて。
やっと、落ち着いた。
――――……完全に飲み過ぎた……。
ワイン飲みだして…… グラスでって言われたのに、美味しかったワインを、ボトルで頼んで……途中から全然記憶ないし。
ほんと、寛人ごめん……。
ぼーー、と、天井を見上げてると。
遠くで、ドアが開く音がして。
少しして、仁が、現れた。
「――――……おはよ」
「仁、ごめん、昨日。 ……迷惑かけた、よね?」
「――――……別に、平気」
……あれ?
……えーと…… ――――……。
なんか、無表情。
彰の方には来ずに、洗面台に消えた。
コーヒー、淹れようかな……。
ご機嫌取りじゃないけど。
少なからず迷惑かけてそうだし。
コーヒーをセットして淹れていると。
仁が、隣にやってきて、コーヒーのカップを出してくれた。
「……起きれたんだね。無理だと思ってた」
「――――……うん。頭痛くて起きた」
「……ふうん」
そのまま少し黙る仁。
「パン焼く? 彰食べれる?」
「……オレコーヒーだけでいいや……」
「……わかった」
……なんか、機嫌、悪いよね、やっぱり。
――――……笑顔が、無い。
「……昨日、オレ、どうやって帰ってきた? 部屋までどうやって……」
「片桐さんがおぶってきた。で、オレは、肩貸してベッドに座らせた。水持ってくるって冷蔵庫いってる間に、シャツとか以外全部脱ぎ捨てて、ベッド入って寝出してたから、スマホはテーブルに置いて、脱いだ服は洗濯機につっこんだ」
「――――……あー……と……ごめん……」
「……飲むといつもああなんの?」
「……いつもじゃないけど……」
他の人と飲んでも、ならないけど。
寛人と飲むと、ああなる確率が高い。
安心しすぎだよな……愚痴ってる間にああなる。
「……あんなんなるなら、酒飲まない方がいいんじゃない? セーブしたら?」
「……うん。 気を付ける」
淹れ終わったコーヒー。
「……オレ、カフェオレにする。仁は?」
「ブラックでいい」
「ん」
……やっぱり、機嫌、良くない、のかな。
だらしなさすぎて、呆れた?
「――――……いただきます」
テーブルについて食事を始める仁を、少し気にしながら。
ミルクを温めて、カフェオレにする。
立ったまま、一口飲みこむ。
優しい味に、ほっと息をついてると。
「……塾、大丈夫なの、そんなんで」
「――――……大丈夫。シャワー浴びてすっきりしたし」
それきり、仁は何も言わない。
なんで、こんなに機嫌悪いんだろ。
さっきの話だと、肩借りたのと、服を片付けさせた位で…… 吐いたとか、そこまでひどい事はしてそうにないんだけどな。
機嫌悪いのかな……なんだろ……。
怒ってるわけじゃなさそうなんだけど……。
「オレ、さっき言ってた以外に、なんか迷惑かけた?」
「……何で?」
「……なんか仁、機嫌、悪くない?」
「……悪くないよ」
そう言われてしまうと、もう聞けないし。
……でも、いつもの笑顔ないし、声、低いし。言葉短いし。
絶対いつもと違うのは分かるんだけど。
悪くない、と言ってるんだから、その内、良くなるかな……。
カフェオレが少し苦い。
……気がする。
「――――……塾の用意してくるね」
少し残して流しにカップを置いて。
彰は、部屋に戻った。
(2021/4/3)
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