with亮也

3/5
前へ
/144ページ
次へ
「……で? あいつの事が、好きなの?」 「……弟だから」 「は?……聞いてんのは弟としての好きじゃないよ。分かってんだろ」  呆れたような亮也の声に、ため息。 「――――……好きも何も……無理だし」 「……無理って何が?」 「……家族だし」 「――――……血つながってないんだろ」 「……でも、家族だよ。親もいるし、下に弟も居るし」 「――――……そういうしがらみに、弱そうだもんなあ、お前……」  そんな事を言いながら、ものすごい、苦笑いの亮也。 「……つか……そんなのに、強い奴、居んの」 「でも、彰は特に弱そう。人の事ばっか考えてさ」  む、と黙ってると。  亮也はまた苦笑い。 「とりあえず、弟が勘違いとか言ってんのはおいといてさ。お前自身は、あいつの事、好きなんじゃねえの?」 「……さっきからさあ…… 何でそーいう質問になんの? オレそんな事、言ってないだろ」 「だって、弟来てからじゃん。 彰がオレと、寝なくなったの」 「――――……」  言葉が咄嗟に出ない。  そんな事関係ない、と思うのに。 「……もともとセフレとかお前っぽくないけど…… でも2年は続けてきたじゃん? なのに、オレとだけやめるんじゃなくて、女の子のセフレも、切ったんだろ?」 「――――……」 「……弟の顔見ちゃったら、出来なくなったんじゃないのか?」 「――――……そんなんじゃない……し……」  返すけれど、自分でも歯切れが悪い。 「……じゃあ、オレとできる?」 「――――……」 「少し前まで、もう数えきれないくらいしてきたじゃん。1回くらい増えたって、かわんねえよ。 ……出来る?」 「――――……」  ……あーもう……ほんとに……。  ……寛人といい、亮也といい――――……。 「……できない」  ――――……なんで痛いとこ……ついてくるのかなあ、もう。  テーブルに肘をついて、額を手で覆い、俯く。 「――――……ちゃんと上むいて?」  亮也はそう言って手を伸ばしてきて、彰の顎を掴むと上向かせた。ちゃんと、彰と目があってから、手を離す。 「なあ――――……無理って、何なの?」 「……え?」 「オレとこうしてたって事は、男同士は、大丈夫だったんだろ?」 「――――……うん……まあ」 「……弟だから、無理なの?」 「……んー……うん。多分……」 「――――……ふーん……でもさ。あいつは今でも彰が好きなんじゃないの?」  その言葉に、亮也を見つめ、少ししてから、首を振った。 「……違うと思う。……前に1回さ、キスマーク見られたけど……すっごい普通にスルーされて……気をつけなって注意されたし。オレに興味無いと思う」 「……じゃあ、何もないなら、なんであいつあんなに、オレを嫌う訳?」 「――――……それは、分かんないけど……」  ほんとに分かんないんだよなー……。  男の友達が来るっていってた時は、別に機嫌悪くなかったし。  亮也を嫌う理由なんてないと思うし。    ……なんなんだろ。     (2021/5/7)
/144ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1504人が本棚に入れています
本棚に追加