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君
僕は『君』の足が好きだ。
程よい肉付きだが、決して醜いものではない。
女性らしく、柔らかく、ずっと触っていたくなるような。
フェチと言われればそうだと思う。
『君』に何度も変態だと笑われた。
僕はずっと一緒にいたいと思っていた。
「この愛は本物だ。
どんなことがあっても決して揺らがない」
そんな臭い話を雪が降る中、『君』と話していた。
『君』は顔を赤くして照れていた。
白い雪にしっかりと二人の足あとがついている。
この足跡さえ愛おしく思える。
この日、『君』は交通事故にあった。
雪でスリップした車が君を引き裂いた。
大きな事故で『君』は片足を失ってしまった。
でも先ほども言った通り僕の愛は本物だ。
僕の愛は揺るがない。
君と一緒にいると決めたのだから。
「結婚しよう」
事故から3日後、僕は君にプロポーズした。
プロポーズ場所は僕の家だ。
静かな場所で君に伝えたかった。
君は何も言わなかったがうなずいてくれているように感じた。
「ありがとう」
僕はそうつぶやいて君の薬指に指輪をつけた。
冬だからか指先がかなり冷たい。
「冷えているじゃないか。
こっちにきて。
温めてあげる」
そう言って僕は『君』の片足を抱きしめた。
喜んでいるようで、君は床を赤く染めている。
床には綺麗な赤い足あとがついていた。
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