0人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、愛してくれる親いねーーーの?
ほら、ここまで育ててくれた親。」
「わたしは、その声にそっと顔をあげる。
そして声は震えて居るだろう。
…居ないよ。
愛なんてない。
どこにも…。
信じてたのに…。
裏切られたから。」
ふーんなら、作れば良いじゃんと彼は突拍子もないことを言ってくる。
「は?」
わたしが思わず漏らした言葉。
そんなわたしを気にせずに彼は話を進めていく。
「だーかーら、作れば良いんだよ。
愛してくれる親を。
なんなら紹介するよ。
んーーー、君容姿は整ってるからー
気に入ってくれる親いると思うよ。
俺がプロデュースしてやるよ。
余命宣告されたってさ、絶対死ぬとは限らないだろ?」
そ、それはそうだけど…
「なら、決まり。
そうと決まれば、おいで。」
え?どこに行くの?
そんなわたしの言葉は、聞こえてないふり。
というか、ほんとに聞こえてないのではないだろうか。
それが、海であった人、海人との最初の出会いだった。
最初のコメントを投稿しよう!