痕跡

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 「で、愛してくれる親いねーーーの? ほら、ここまで育ててくれた親。」 「わたしは、その声にそっと顔をあげる。 そして声は震えて居るだろう。 …居ないよ。 愛なんてない。 どこにも…。 信じてたのに…。 裏切られたから。」 ふーんなら、作れば良いじゃんと彼は突拍子もないことを言ってくる。  「は?」 わたしが思わず漏らした言葉。 そんなわたしを気にせずに彼は話を進めていく。 「だーかーら、作れば良いんだよ。 愛してくれる親を。 なんなら紹介するよ。 んーーー、君容姿は整ってるからー 気に入ってくれる親いると思うよ。 俺がプロデュースしてやるよ。 余命宣告されたってさ、絶対死ぬとは限らないだろ?」 そ、それはそうだけど… 「なら、決まり。  そうと決まれば、おいで。」 え?どこに行くの? そんなわたしの言葉は、聞こえてないふり。 というか、ほんとに聞こえてないのではないだろうか。 それが、海であった人、海人との最初の出会いだった。
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