一章

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一章

  それから時を経て、高校生になった。 帆真礼パパと、海李さんは相変わらず口喧嘩という、仲良しさを見せつけていた。 わたしと、海音はというと、他校に通っている。 前ほどは、会えなくなったが会える時に、連絡を取ってあっている。 彼は今ダンサーとして、社会に半分足を踏み入れていた。 売れてきたら、歌も歌うそうだ。 わたしも、彼のライブ?は見に行ったことがある。 とても生き生きしていて、何よりパフォーマンスがすごく輝いて見えた。  一方わたしは、普通の女子高生だと言いたいが、女優になっていた。 おこがましいが、天才女優という肩書きを持っていた。 ファンもそこそこにいるらしい。 だが、全くに興味ない。 だってわたしが好きなのは海音ただ一人なのだろうから。 ずっと目で追っていた。 彼を。 その彼は、今ダンサーとして頑張っている。 その頑張りを邪魔するわけにはいかない。 だから、告白出来ずにいる。 その時、LINEのポヨヨンか何やらよくわからない音が鳴る。 わたしは顔を真っ赤にしながら、 LINEを開く。 「海音だ!」 そこには、海音からメッセージが一件入っていた。 「今から会えない?  駅まで迎えに行くから。」 強引さは相変わらずだ。 返事もしてないのに、まるで会うの確定なのだろう。 すぐさま返事を打ちながら、時計を確認したのだった。  行くと、ほんとに駅に海音が待っていた。 汗をかいている。 恐らく、駅まで走ったということなのだろう。 昔から彼はいきなりだった。 でも、それはわたしにとってとても嬉しい強引さだ。 わたしが奥手だから。 「おう、葵、待ったぜ。」 「いや、まだ聞いてないじゃん?  てか、待った?って聞くの恋人のシチュエーションだからね? わたし達幼馴染だから。」 「おう、そうだったか、じゃあ付き合っちゃう?」 「バ…バカ。   ふざけていうことじゃないよ。   そういうのは…。」 「ふざけてねーし」 そんな感じで、1、2時間は言い合っていたと思う。 落ち着いた頃に、海音が呼び出した理由を話してくれた。  まとめると、こうだった。 海音のクラスに、目が真っ暗な少女が居て、 目立って居て、何やらお前の記憶を持っているということだった。 わたしは、ある予感が過ぎって聞いてしまう。 その女の子の名前はと 海音が言いづらそうにしながら、口を開く。 優海…。 わたしの頭が酷く痛む。 そのままわたしは気を失った。 海音が必死に呼ぶ声が聞こえていた。 葵…葵…。
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