魔女とボクの思い出

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翌日から毎日森へ通った。 何時間も迷うことになったり、人狼のような大きな影に追いかけられたり、散々な目に遭った。しかし、最後には入り口へ道が開けるように帰ることが出来た。 あの日出会った彼女に会えない日が続いたが、めげずに森へ入った。今日は、菓子をお茶をと彼女と会えたらどんなことを話そうかウキウキするが、怖いものは怖く、今日も目に涙を浮かべ、森から出てきた。 そんな日々も日常と化す中、彼女は現れた。 「貴方また、迷ったの?」 木陰で一休みしていたボクに彼女は、呆れたように声をかけた。 「あら、美味しそうなもの持ってるじゃない」 バスケットからのパウンドケーキのいい匂いに気が付いた彼女が、嬉しそうに近づいてくる。 「どうしたの?私の顔に何か付いてる?」 それからは、森に入ると彼女に会えたし、いつしかあの野原に辿り着けるようになっていた。美味しいものを見つけては、お互いに持ち寄り二人っきりのお茶会が開かれた。 春は桜の木下で、夏は川で涼み、秋は読書に森の散策と冬は彼女の家のコタツでゆっくり過ごした。それなりの季節を二人で巡り、ボクは益々彼女に惹かれた。 彼女は、ボクが近づくことを受け入れるのに、なかなか自分から甘えてくれることはなく、かなりヤキモキした。それでも少しずつ、ボクに心開こうとしてくれる姿勢は愛おしく、彼女が一歩踏み出してくれる度に、天にも昇る心地で、惚けてしまう。 そんなボクを見て照れていた彼女が、思わず吹き出し、花が水を浴び喜ぶように、目に涙を浮かべて笑ってくれる。こんな日常が、あと半世紀ほど続くならボクは何にだってなれるし、何でもやり遂げることが出来るような、そんな力が湧いてくるのだ。
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