【6】解決と獣

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【6】解決と獣

 屋敷が炎に包まれたとなれば、街の人の注目も集まるものだ。  通りはすっかり人で埋まり、とても外に出られる状態ではない。警察やら新聞社やら、僕が素直に出て行ったら捕まりそうな人も見える……崩れ行く建物の影に身をひそめながら、僕とアンジュは脱出する機会を窺っていた。 「参ったわね。こんな夜中でも、人って集まるものなんだ」 「一応でかい屋敷だからね……痛てっ」  切り裂かれた首元の傷は塞がっていたが、まだ痛みは残っていた。  先程のような激痛ではないが、ちくちくと刺すような。嫌な違和感の残る痛み。気を抜いたら自分の首が、ポロっと落ちてしまうのではないかと思ってしまう。 「首、大丈夫? 」 「なんとかね。失血死しそうだったから、今でも十分マシさ」 「あっそ。じゃ、こっち」  アンジュは僕の手を取ると、屋敷の壁に沿って裏側に回った。  燃え盛る屋敷だから、早く遠ざかりたいのは山々だ。アンジュが平然としている様子からして、少なくとも先生達は既に避難できたのだろう……ベルベットとアイオネル。あの二人がどうなったかは知らないが。 「それにしても、よくこの場所が分かったね。それに全員ボロボロだったのに、アンジュが全員運んでくれたの? 」 「質問は後にして。喋ってると気付かれるでしょ。あんたの傷だって完治した訳じゃないんだから、ちゃんと病院行きなさいよ」  それもそうだ。  屋敷の塀を越え、建物の角を何度も曲がり、やがて人影のない路地へ。  
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