【6】解決と獣

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 ジャッケルさんに事件のことを告げると、彼は然程興味無さそうに 「ま、解決したならいいけどね。それよりラピスちゃん、もふもふ」 「ふざけんな」  いつもと変わらぬやりとりを繰り広げていた。  上客のベルベットが死んだことは、彼にとってそれほど大きなことでは無いのだろうか。ジャッケルさんは彼女が死んだというニュースを既に聞いていたようで、僕達の話にも、それ程驚く様子は見せなかった。 「なんでぇ。なんでもふらせてくれないのよぉ……ワシだって色々協力したじゃないの。ご褒美があって当然だと思うんだけど」 「それ以上こっちに来るんじゃない。来たらその腹引き裂いて、夕飯に焼いてやる」 「うひょひょ、ラピスちゃんに食べられるなら、それはそれでいいかなぁ……ひひ……」  救いようがない、という顔をしながら、先生は僕の後ろから出ようとしない。 「なんでよぉ。いいじゃないのよぉ……チミ達がロシャウド家を探ってたから、うちにもちょいちょい『群れ』の連中が来てたのよ? チミ達のことを喋らないようにするの、大変だったんだから……」 「『群れ』って何ですか? 」  単純に疑問に思って聞いたのだが、僕の問いを聞いたジャッケルさんは、はっとして口を塞いだ。やましいことなのかと思って先生の方を見ると、こちらもまた、普段見ることもない張り詰めた表情をしている。 「……ごめんごめん、今のは忘れて。今日はラピスちゃん我慢するからさ」  そう言って、ジャッケルさんはそそくさとカジノの奥に消えて行った。  改めて先生を見ると、厄介ごとが去ったかのように「やれやれ」という顔をしている。唐突なジャッケルさんの変化に戸惑いながらも、報告を終えた僕達はRomlus(ロムルス)を後にするのだった。
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