最終章 これからも

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--------------- 「本日は、孝太郎さん、アリスさんの結婚披露宴にお越しくださいまして、誠にありがとうございます。 本日の司会を務めさせていただきます、新婦アリスさんの友人、井上有紗でございます。よろしくお願いします。 さて、新郎新婦のご入場の準備が整ったようでございます。 皆様の盛大な拍手で迎えたいと思いますので、入場口の方にご注目ください」 披露宴の司会をお願いした有紗の挨拶で幕を開けた披露宴。 有紗はやっぱり本職。 さすがプロのアナウンサー。 発音もはっきりと、声も堂々として、それでいて花があった。 オーラが違うっていうか、やっぱりなんか違う。 何があっても披露宴には来ると言ってくれてたけど、東京キー局で地方系列局の女子アナを集めた年末特番の収録があって、有紗は局代表の一人として推薦されてたらしいんだけど、それを断って披露宴の方に来てくれたらしい。 本当にありがとう。 さて、披露宴の方なんだけど、私たちの結婚式には仲人は立てなかったので、私と孝太郎さんの二人だけが前の高砂の席に座る形式。 仲人挨拶の代わりに行われた主賓挨拶は、孝太郎さん側は帝産銀行大阪本部の人。 後で知ったけど、結構なお偉いさんだったらしい。帝産銀行OBのうちのお父さんもびっくりしてたくらいだから。 そのお偉いさんは、きっちり“披露宴の定番”の「三つの袋」の話をぶち込んできた。 まあこれは様式美みたいなもの。 でも自分の披露宴で聞くことになると、それはそれで感慨深い。
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