第八章 三人の親

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食事会は、お婆ちゃんの仕切り力というかバイタリティというか、とにかくお婆ちゃんの人柄で和やかに進行した。 会話はお婆ちゃんとお父さんが中心になって、私と孝太郎さんがイジられ役。 お母さんと木田さんはそれをニコニコしながら眺めてるって形。 本当なら知り合うはずのない、お婆ちゃんとお父さん。 お母さんを中心にして考えてみれば、二人の関係は、現在の旦那さんと、元旦那さんのお母さん。 そんな二人が意気投合。 お父さんも敵を作らず誰とでも仲良くなれるタイプだと思ってたけど、お婆ちゃんもやっぱり凄い人だ。  因みにお父さんが周りに敵を作らないように気をつけてるのには、深いわけがあるって、お母さんに聞いたことがある。 昔、お父さんとお母さんが銀行の支店で出会った際、その当時まだ課長さんだったお父さんは、なぜだか全く事情が分からないまま、その店の支店長に疎まれ、人事面で嫌がらせを受けていたらしい。 その後その支店長は異動でいなくなったので嫌がらせは終わったんだけど、それ以来お父さんは仕事では極力敵を作らないよう気をつけてたんだって。 まあその支店長に嫌がらせを受けたお陰で、お父さんはお母さんの働く部署に“左遷”されて、そこで二人が出会ったんだから、運命なんて分かんないもんなんだけどね。
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