第九章 知らぬは…

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結婚後の私たちの新居は、私の実家の近くにアパートを借りて二人で住むことになっている。 彼は結婚に合わせて転勤希望を出していて、私の地元を含む関西以西の西日本エリアへの転勤を第一希望として人事部に提出してくれている。 西日本エリアを拠点にするということは、実家の家業は継がないとの意思表示でもあって、この件はちゃんとお義父さんお義母さんにも断ってあるらしい。 でもすぐに大阪から転勤できるわけじゃないので、しばらくは今まで通りの週末婚というか、通い婚になるのを覚悟している。 さて、新婚旅行に話を戻すんだけど、当初の旅行プラン作りの際、本当はニューカレドニアと日本を繋ぐ直行便は成田発着だけじゃなく、関空発着の便も選べた。 結婚式は大阪でやるんだから、そのまま関空から飛び立てれば一番良かった。 それなのに成田空港発着便になったのは、関空発着便の運航日の選択肢が少なかったから。 火曜木曜の週二回じゃ、孝太郎さんの休暇の期間を考えると使い勝手が悪い。 喜んで成田便を選んだわけじゃない。選ばざるを得なかったんだ。 でも後になって思い返せば、この成田便を選んだことが、今回の“騒動”の引き金になるんなんて、この時は思いもよらなかった。 もしかしたら、関空便を選びたくても選べなかったと思ってたのは、私だけだったのかもしれない。
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