第九章 知らぬは…

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そうそう。モヤるといえば。 私と彼の間で約束した“家族計画”では、少なくともあとニ年は夫婦二人だけでやっていこうと決めていた。 本当は彼はすぐにでも子供が欲しかったみたいだし、私も親子三人で手を繋いで散歩するというのに憧れを抱いているのも事実。 でも私はまだ、自分に自信を持てていない。 精神面ではまだ子供だという自覚がある。 子供が子供を育てるなんて、あり得ない。 ましてや、仕事もまだ半人前なのに。 子供を産んで育てるのは、もう少し自分に自信がついてから…、仕事面でも資格を増やして責任ある立場になってから、と思ってる。 結婚前の話し合いで、その私の想いを孝太郎さんも受け入れてくれていたはず。 でもそれなのに、新婚旅行中に、彼は…。 新婚旅行という高揚感や、リゾート地ながら、ドレスコードのあるレストランで少しお洒落に着飾って食事したという雰囲気に呑まれたのか、ある夜のエッチの際、孝太郎そんは約束をすっかり忘れて何も付けずにイタして、しかもあろうことか、中に出した。 幸い“安全な日”なので、そっちの方はそこまで心配はしてない。 彼も、不機嫌ななった私に気づき、自分のしたことをすぐ謝ってくれたんだけど、モヤることはモヤる。
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