プロローグ

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【プロポーズ(ぷろぽーず)】 [プロポーズとは、求婚のことであり、結婚したいという意思をパートナーに伝えること。「結婚してください」「結婚しよう」と男性が女性に申し込む、あるいは女性が男性に申し込むこと。 同性婚が認められた国では…] なんとなく正解を見つけたくて、スマホでその単語をググってみたら、そこにはシンプルにそう書いてあった。 子供の頃から抱いていた私の理想のプロポーズは、運命的に出会った、本当に好きで好きでたまらない男性から、ロマンチックなシチュエーションで、でも謎かけとか変な比喩は要らなくて、シンプルに『結婚してください』と言われること。 …なんて、ずっと思ってたなぁ。 私、このまま結婚しちゃうのかな? 相手は、孝太郎さんでいいのかな? 今私が付き合っているのは、吉村孝太郎(よしむらこうたろう)さんという10歳も歳上の男性。 帝産銀行という、メガバンクより少し規模は小さいけど、全国展開している準大手と呼ばれる銀行に勤めてめてて、私のお父さんの元部下でもある。 私が自宅から遠く離れた大学に進学した際、孝太郎さんがたまたま大学近くの帝産銀行の支店に勤めていたという縁で、保護者代わりににいろいろ面倒を見てくれて、よく分からないけど、気づけばそれからずっと身近にいる存在。 計算すると、知り合ったのは私が19歳になる年からだから、もう6年にもなる。 いま25歳の私と10歳離れていると言うことは、孝太郎さんは、現時点では34歳だけど、今年の誕生日で35歳。 年齢的には四捨五入したら既にアラフォー。まごうことなき“おじさん”だ。 ただまあ、ありがたいことに孝太郎さんの見た目が若いのと、彼の精神年齢も低いので、一緒にいてもそこまで年齢ギャップは感じてないんだけど。 ------------------- なんでそんな単語をググってみたかというと、最近なにやらその【プロポーズ】とやらを意識させられるようになってしまったから。 私自身はまだ25だし、今の介護施設に就職してまだ3年ちょっとだから、そこまで結婚を意識して無かったんだけど、彼にしてみたら、もう35だ。 結婚するのが35歳ってのが遅いわけじゃないんだろうけど、早いわけでもない。 とは言っても、多分彼の周りの職場の同期はもう結婚してる人の方が多いのかな。 もしかして、彼は焦ってるんだろうか。
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