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---焦るのも、少しだけわかる気はするんだ。
今は、孝太郎さんの仕事の関係で、私と遠距離恋愛中。
全国転勤のある彼は、普段は銀行の寮に住んでるけど、ほぼ二週間に一度の頻度で、週末に私の地元にやってくる。
車で高速使って片道3時間程度離れてるんだけど、その移動を、孝太郎さんが今の部署に異動になった2年前から続けている。
本当は電車で来てくれた方が安心なんだけど、私の地元が田舎で、そんなに電車の便がよくないし、車の方が何かと便利だと言って、聞いてくれない。
孝太郎さんは東京出身で、私の地元には全く縁はないんだけど、若い頃ウチのお父さんと一緒に働いていて、うちの両親と顔見知りだったいう偶然に、孝太郎さんがその後転勤で行った赴任地の近くにある大学に、私が進学するという偶然が重なり、いつの間にかこんなことに。
お父さんと孝太郎さんが一緒に働いていた時に、休日のゴルフの送迎とかで何度か私の家の前まで来たことがあったらしく、お母さんは彼のことを知ってたけど、その当時中学生だった私は、部活にでも行っていたのか、全く印象にない。
次に彼との間に起きた偶然は、私が自宅からかなり遠方の大学に進学する時のこと。
後期試験でギリギリ合格して、入学式まで日程の余裕のない私の入居先を探す際に、たまたま孝太郎さんが大学近くの支店に勤務していた。お父さんが彼に新居探しを相談し、それから彼が転勤する大学3年の時まで、保護者代わりで知らない街で暮らす私のサポートをしてくれた。
お父さんは、まさか娘と10も歳が離れた元部下が、その娘とどうにかなるなんて、多分考えてなかったんだろうな。
孝太郎さんですら、こんなことになるなんて、想像もしてなかっただろうし。
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