天邪鬼の唇は

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学校の手続きで僕はあっという間にあの初対面でプロポーズした馬鹿男のクラスへと変わってしまった。 『初対面なのに馴れ馴れしいよ。お前』 「初対面ではない。」 『…え?あ!お前!』 顔を見て思い出した。 こいつは中学最後だった剣道の大会の決勝戦で僕が負けた相手! 長身で恵まれた体躯のわりに素早く動いてあっという間に追い詰めてきて僕を負かしたんだった。 なんだとっても憎き相手じゃないか… 「けれどお前は俺から1本先にとっていた。」 『当然。先手必勝だから』 けれどそれが良くなかった。 こいつの本気を態々自ら引き出してしまったんだ。 他の試合を見せて貰った事があったがそこまで本気を出さずに勝っていたコイツは少なからず剣道というものに飽きている様なつまらなそうな顔をしていた。中学から始めたと言うのには上手すぎてまるで相手が下手くそ過ぎる様に見える位に。 それが幼い頃から習っている僕には癪に触った。
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