天邪鬼の唇は

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背後からアイツの視線を感じる。 ちゃんと僕の言うことを守って話しかけて来ないけれど。 朝の読書がこいつだけじゃなく他の視線も感じて気が散る。 「悟君!悟君の許嫁様ってどのこって…ひぇっまさか」 「宗音だ。」 「っ名前呼びしてんの!?明智は有名だぞ!?お前…見た目はこの通り綺麗な薔薇だけど茨だらけの悪魔のような性悪Ωだって。」 「…薔薇は茨は元からついてるだろ。今市。」 あーはいはいこの天然は。 思っていた通りの本能を見せて声をかけてきた男に首を傾げている。 僕はニコリと笑みを浮かべたまま読んでいた本を持ちつつ後ろを向く。 『自己紹介どうも。』 「ひっ!明智!」 人を化け物みたいな目で見てくるが構わずに貼り付けた笑みのまま話しかける。 『別に許嫁と言っても必ず結婚しないといけない訳ではないので。』 所詮許嫁って言う名前だけのものだ。 互いの性格の不一致とかで解消も近いうちにしようと思っている。 周りが何を言おうが絶対に僕はこんな奴と結婚なんてしない! 「…?結婚は必ずする。卒業したら直ぐにだ。」
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