天邪鬼の唇は

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午前中の授業は穏やかに過ぎていき昼休みだ。 さてどこで食べようかと思って教科書とノートを片付けていればあいつが声をかけてくる。 「字が綺麗だな。宗音は」 『普通でしょこれくらい』 「俺は好きだ。宗音の字」 『そう…』 別にどうでも良いけど。 「ご飯は」 『僕弁当だから。』 「…」 『何。あげないけど』 同じ家に住んでいるからと言って弁当を作ってやる義理は無い。 とりあえず家では仕方なく朝ごはんや夜ご飯は作るけれど弁当は作らなくていいでしょ。 「えっ家で明智の手料理食べさせて貰ってるの?悟君。」 「宗音のご飯は美味い。」 「そっか~良かったね好きな子の手料理食べれて。」 織田は周りにふわりと花が咲くような笑みを軽く浮かべた。 へぇ、コイツこんな風に笑うのか。 意外な物をみたと思ってマジマジと見つめていたら暫くしていつもの鉄仮面みたいな顔に戻った。 表情筋が僕より硬い人初めて見たんだけど… なんか面白くて思わず笑う。 「…宗音?」
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