飲まず嫌い伯爵

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「ベルガモットって言う、柑橘類の香りが付いた紅茶のことだよ。グレイ伯爵が好んで飲んだ事から、この名前が付いたんだ」 「巻さんの最近のお気に入りですよね」 と一色さん。 「キミも飲んでみる?」 会長は勧めてくるが、 「どうせ味オンチなんで…」 とイヤミも交えて遠慮したら、 「まあまあ、モノは試しだから」 と会長は僕の言葉を物ともせず、新しいペットボトルとマグカップを取り出す。 仕方がないので観念して飲むことにした。 おっ!? 確かに何だか爽やかな香りがする。 「あれ?何か、美味しいかも」 「無理しなくていいぞ〜」 「いや、無理じゃなくて、普通に飲めました」 「いいじゃん、いいじゃん!さてはキミ、飲まず嫌いだったんじゃないの!?」 会長は満面の笑みで言った。 もしかしたら本当に、僕の思い込みで嫌ってただけかもしれない。 紅茶研究会はともすると、僕の固定観念を壊してくれるのかも、と少しだけ思えてきた。
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