きっと、あなたに、届くから

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 娘からの電話。以前はぜんぜん連絡をよこさない娘であったが、妻の葬儀以来一人になった父親がさすがに心配らしく、週に一度は電話してくるようになった。   「ん、まあ普通だよ」  あれから半年経つ。私はとりあえず生きてはいる。少なくとも身体的には。 「ん、じゃあ良かった。こんど裕也がね、そっちの大学のオープンキャンパス、わかる? 学校見学会ね、それに行きたいって言ってるのよ。うんそう、まだ高1なんだけど、最近は早くから見ておいた方がいいって言われてるの。うんそう。時代の違いなんじゃないの。だから泊めてやってね。よろしく」  そんなわけで、孫の裕也が一人で泊まりにくる事になった。それは私としても大歓迎だ。娘は一人っ子で、その息子の裕也もまたきょうだいがいない。だから私にとっては、たった一人のかわいい孫なのだ。小学生のころは毎年夏休みになると家に来ていたが、中学生に上がる頃から塾だの部活だのが忙しいとの事で、めったに来なくなってしまった。  半年前に葬儀で会った時も久し振りで、背丈がすでに170センチを超えている裕也を目の前にして、その成長ぶりに面食らった。しかし笑った顔には、幼少時のかわいらしい面影が色濃く残っており、私は少し安心した。 「おじいちゃん、来たよ」 「おう、上がれ上がれ。遠いとこよく来たな、疲れただろう」 「平気だよ、俺若いし。あ、ライン来た」  着くなり、さっそくスマホを何やらいじっている。妻はスマホを自由に使いこなしていたようだったが、私はさっぱり。ただ、外出の多かった妻との連絡用としてスマホは一応持たされており、文章を打つことだけはできた。 「おじいちゃん、毎日何してんの?」 「ん? 別に何も。テレビ観たり、本読んだり」
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