きっと、あなたに、届くから

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「えー、それじゃボケるって、もっと人と交流しなきゃ。ネットとかやんないの? SNSとか。大丈夫大丈夫、簡単だって。えーっとじゃあフェイスブックは? あれなら年いってる人も結構やってるみたいだし。おじいちゃんのスマホあったよね、貸して、俺設定するからさ」  裕也は、昔からハキハキして物怖じしない子だった。言葉は乱暴だが、私が寂しくないのかと気遣っている事は十分わかった。だから私は逆らわずに、裕也にスマホを手渡した。フェイスブックとやらが、どういうものだかさっぱりわからなかったが。 「ほい、できたよ! 写真がいるんだけどさ、なんかない? 違う違う、おじいちゃんの顔じゃなくてもいいって。あっそうだ、ミイの写真にしようよ、かわいいし」  そう言うと裕也は、寝ているミイをスマホでカシャッと撮った。ペンネームのような物が必要だというので、ミイパパとしておいた。まあ、実際にはミイ爺さんと言ったところだが。  こうして私は、見事フェイスブック・デビューを果たした。  裕也は私に使い方についてのレクチャーをし、大学の見学会も無事済ませて自宅に戻っていった。また暇になった私は、なんとなくフェイスブックを開いてみた。ミイのかわいい寝顔が、私のシンボルマーク? として出てくる。  それを見ながら、裕也に教わったように、とりあえず検索で「猫 好き」と入れてみた。すると「猫好きが集まるグループ」といったものがいくつか出てきた。その内の一つを適当に開いてみると、かわいい猫の写真がたくさん並んでいて、私は思わず微笑んだ。どうせ毎日やる事もないし、ここに参加してみるか。  私は早速、ミイの写真を撮って投稿してみた。するとすぐに、「わあー、アビシニアンですよね、かわいーうちの子と同じです!」というコメントが付いた。なるほど、その人のマークも茶色っぽい短毛の猫、エジプト原産のアビシニアンだった。
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