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報告をする間も、ハンスの頭は、どこかぼんやりとした霧のようなもやに包まれていた。空虚な空白が、脳内の重要な思考回路を淘汰するようにして、どっかりと居座っているのだ。
アルディストンに帰還して、もうすでに今日で三日目だ。
その間、まだ吉報はハンスの耳に届いていない。
ルークとの会話を続けながらも、半分は別のことに意識を支配されていた。ブレイバーナイトとして、軍人として、そんなことではダメだとわかっていながらも、思考を整理できずにいた。
そんな中だった――。
「それと……最後になったが」
ルークはまるでたった今思い出したかのように、切り出したのだった。
「パラディン・ユキが今朝、目を覚ましたらしいという報告がきている」
えっ――?
その瞬間に、ハンスの心臓は大きく高鳴った。
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