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「竹居君。本当は、わざわざ言う必要は無いのですけど」
「うん?」
朝宮さんが言い淀む。
「……一つだけ、誓おうと思って」
「誓い?」
「はい」
何だ? やけに大げさな話になっているような。
「分かった。聞くよ」
しばらく朝宮さんは沈黙したけど、決心がついたのか、ゆっくりと話し始めた。
そ、そんなに気合いがいることなのか。
「私、練習頑張ります。それで、もし七月の学習発表会の本番で良い結果が出せたら……」
「出せたら……?」
「今まで黙っていたことを、竹居君に伝えようと思っています」
秘密の告白。
多分、アレだ……前に俺と会ったことがあるとか、そんなの。
「わかった。でも、そんなに重要なことなの?」
「はい。もし言って竹居君に嫌われたらって思ったら怖くて言えなくて……。竹居君が覚えてないことをいいことに言わずにいるのは、ズルいと思って……います」
朝宮さんの声が震えている。
本当に怖いと思っているのだろう。
でも、どんな内容でも、たかだか俺のことだし。
たいしたことないはず。
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