第三章 お嬢様と初本番

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「竹居君。本当は、わざわざ言う必要は無いのですけど」 「うん?」  朝宮さんが言い淀む。 「……一つだけ、誓おうと思って」 「誓い?」 「はい」  何だ? やけに大げさな話になっているような。 「分かった。聞くよ」  しばらく朝宮さんは沈黙したけど、決心がついたのか、ゆっくりと話し始めた。  そ、そんなに気合いがいることなのか。 「(わたくし)、練習頑張ります。それで、もし七月の学習発表会の本番(ステージ)で良い結果が出せたら……」 「出せたら……?」 「今まで黙っていたことを、竹居君に伝えようと思っています」  秘密の告白。  多分、アレだ……前に俺と会ったことがあるとか、そんなの。 「わかった。でも、そんなに重要なことなの?」 「はい。もし言って竹居君に嫌われたらって思ったら怖くて言えなくて……。竹居君が覚えてないことをいいことに言わずにいるのは、ズルいと思って……います」  朝宮さんの声が震えている。  本当に怖いと思っているのだろう。  でも、どんな内容でも、たかだか俺のことだし。  たいしたことないはず。
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