第三章 お嬢様と初本番

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 アイツ……楽器関係なら俺いなくてもいいと思うんだが?  翌日。  今日は朝宮さんはお休みだ。  朝に、 【今日は学校お休みします。体調が悪いわけじゃありません。練習に行けなくてごめんなさい】  というメッセージが送られてきていた。  暁星も来ないはずなので、今日は一人で音楽室で練習することになる。  そしてあっと言う間に一日が過ぎ——。  放課後、音楽室に向かおうとした時のこと。  あっと言う間にクラスのみんなは教室からいなくなった。  そして、他クラスからやってきた早希ちゃんと俺だけになってしまう。 「あれ、早希ちゃんどうしたの? 昼河は?」 「……気にしてくれるのは竹居君だけだよぉ。アイツ、何か用事があるから教室で待っておけって……言われて」  ふああと、眠そうにしている早希ちゃん。  暖かくなってきているし、気持ちは分かる。 「そっか。そういえば、早希ちゃんって中学の頃吹奏楽部だったって話だよね? もうやらないの?」 「もう……絶対やらない。練習が厳しくて……いい思い出無い。どうして?」 「ううん……なんでもない」
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