第三章 お嬢様と初本番

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「うん、最初コケても最後まで引きずらないようにしないとね。朝宮さんも気をつけて」 「はい!」  相変わらずジト目の暁星。 「ねえ、タクヤ……朝宮サン。二人とも、何かあった?」 「何か?」 「ええと、多分ありませんけど……」 「本当? あやしい——」  暁星だけが何かに納得していないようだが……。  久しぶりに合わせる練習は楽しかった。  一人でやるのと違って、全然深みが違う。  それに、朝宮さん譜読みがしっかりできている。  もしかしたらピアノでもやっていたのかもしれないな。 「そろそろ時間なので、楽器をしまって帰ろか」 「はーい」 「はい!」  俺たちは充実した時間を終え、練習を終えたのだった。 「あの、竹居君。お話しがありまして……少し時間ありますか?」 「うん、分かった」 「ふーん。じゃあ、アタシは先帰るね」  さっと片付けを終えてさっさと帰って行く暁星。  俺たちも追うように片付け、音楽室を出て旧校舎を出る。  大切な話みたいなので、旧校舎を出たところにある、植え込みの近くのベンチで話すことにした。 「それで朝宮さん、話というのは……?」
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