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四月中旬。
高校の一年の各クラスに、いくつかのグループができはじめる頃。
昼休憩の時間を一人で満喫している俺の耳に、同級生の男たちの声がザワザワと届いた。
「今日のカラオケ、竹居にも声かけとくか?」
「バーカ。あんな根暗な奴より、もっと違うやつにしようぜ」
カースト上位の男共が俺、竹居卓也の名を口にしている。
上位陣はいくつかグループがあり、カラオケがどうのと言っている奴らは俺にとっていけ好かない連中だ。
特に夜叉という男が嫌いだ。
女癖が悪い、という噂を聞いたことがある。
「そういえば、竹居って名前聞いたことあるんだよな。何かで有名だったらしいけど忘れたな……テレビだっけ?」
昔のことを覚えている奴がいるのか?
せっかく吹奏楽部がない高校に来たのに……忘れて欲しい。
「じゃあ……朝宮さんとか来ねーかな?」
俺の耳がぴくっと震えた。
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