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「そ、そうだよな。忙しいよな」
あっさり引き下がる夜叉。
朝宮さんがあいつらに付いていかなかったことにほっとする。
「チッ。もう少し愛想良くしないと友達できないぞ?」
夜叉が捨て台詞を吐いて離れる。
結局、孤高の令嬢はまた一人になる。
「朝宮さんって一人が多いよね。近づきにくいっていうか」
「態度も素っ気ないし、ちょっと冷たい感じがするよね」
クラスメートがコソコソと話している。
俺と朝宮さんが近い境遇になっていることに不思議な共感を覚える。
俺も人付き合いを減らしていて、クラスに一人くらいしか話す相手がいない。
とはいえ朝宮さんの世界線と俺のそれは交わることはないだろう。
お嬢様と庶民。
住む世界が違うから——俺はそう考えていた。
そう考えていたんだ。
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