無力な入学式

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「ん? どれどれ。なんだこりゃ!」  教頭がハガキみたいなのを取り上げる。 「こ、こんな、けしからん!」 「どうしたんです、教頭」 「君は見んでいい! このボンボン!」  ボンボン育ちは関係ないだろ! 「おい、何見てんだ! 返せ!」  アルマくんが、珍しく乱暴な言葉づかいをした。アプリケはにやにや笑ってる。 「どっかのお姉さんの盗撮写真。私じゃないよ。ドラゴナンくんが持ってました」 「驚かせるな、アプリケのかと思ったぞ。っておい!」  教頭がアルマくんを睨む。 「こんなのは処分だ!」  教頭の指先から炎が出る。写真は煙になって、炎は煙と一緒に消えた。 「あああ、そんなあ」  アルマくんがへたりこむ。アプリケは突然、両目を引っぱって舌を出した。 「バーカバーカ、痴漢野郎のド変態ー。便所の水でもすすってろ」 「アプリケさん、そのへんにして。僕から言って聞かすから」  校長がか細い声で言う。その声を教頭がかき消した。 「おい!」
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