無力な入学式

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「よくやったな、アプリケ! お手柄だぞ!」 「やったあ!」  お嬢様は楽しそうにジャンプしている。 「じゃあおとがめなしだね。さよーなら」 「待て待て、暴力はいかんぞ。それに対しては、きちんと処分しないとな」  嫌味な教頭だが、公平な人ではある。根性は腐ってるけど、ちゃんと教育者だな。 「罰として、アルマ・ドラゴナンとグール先生におじぎして謝れ」 「申し訳ありませんでした」 「うむ、よろしい」  そんでいいの!? え!? 一番軽い罰でも、反省文400字以上のはずですが? 「君は暴力衝動があるが、心の根っこに正義感がある。今まで見た中で、一番見どころのある生徒だ」 「ありがと! じゃ部屋帰るね!」  お嬢様がドアを閉める。教頭はアルマくんを睨んだ。 「この程度の暴行と盗撮では、君の方が罪が重い。校長、停学にしてはどうか」 「は?」  アルマくんの声が低くなる。さっきの少年とは、まるで別人だった。
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