無力な入学式

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「『自分の思った言葉を相手に言わせる』そういう魔法だったよな、アレクサ・グール!」  みんな1人1つずつ、自分にしか使えない魔法を持っている。俺は物心ついた時から昨日まで、この魔法を使いまくっていた。  幼稚園で女の子を泣かせたときも 「うええん、アレクサくんがあ『やってない』」  って言わせたし、先生に怒られそうになったら 「友達をいじめるなんて『まあ今日は許そう。帰ってよし』」  と難を逃れた。初恋は 「私、他に好きな人が『と思ったけど、やっぱりアレクサくんが大好き。付き合おう』」  という裏技で、無理矢理両思いにした。 「聞いているのか、グール先生!」  教頭のおっしゃるとおり、アルマくんを謝らせるのもたやすい。うん、そうなんだ。  ス魔法がちゃんと使えれば!
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