無力な入学式

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「まあまあ、教頭先生え」  机の下から声がする。 「あとは校長の私から、注意しておきますから」 「顔を見て話せないんですか。はいはいわかりましたよ」  教頭はまた舌打ちをして出ていった。この人の態度もひどいが、一応校長の言うことは聞いてくれる。助かったあ。 「ありがとうございます、校長。もう教頭行ったんで、出てきてください」 「よいしょっと」  校長はよれよれのハンカチで汗をふいた。 「ところでグール先生、本当ですか?」 「えっと、何が」 「ス魔法が壊れたという話」  校長! お優しい! ちゃんと聞いててくれたんですね! 臆病者でもかまいません、一生ついていきます! 「はい、これなんです。全然つかなくて」 「ちょっと見せて」  校長は俺のス魔法を手にとって、神妙な顔で調べてくれた。もしかして、ひょっとしたら直るかも?
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