無力な入学式

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「落ち着いてください」  小柄な体に細い声、中途半端にハゲてる頭。弱々しい感じの人だけど、たまーにすっごく優しいんだよなあ。 「そんなこと言われたってなあ」 「2年目なのに、あの役目じゃねえ」 「コネ入社には無理だろう」  ん? 先生たち、みんなひそひそしてる。どうしたんだ? 「ははっ、無理でしょうなあ」 げっ、教頭! 「グール先生」  教頭は大股で近づいてくる。180cmは超える背丈、でかくて低い声、鋭い眼光、横に広がる白いひげ。校長よりもずっと怖い! 「辞退するなら今のうちだ。普通科しかやってないお坊ちゃんには難しいだろう。なあに、教師以外にも職業はある」  教頭は子供のころ貧乏で、昔は苦労したらしい。そこから成功した立派な人だが、やたらとコネ教師をいびってくる。 「だ、大丈夫ですよお」  ん? あの声は。
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