無力な入学式

7/17
前へ
/115ページ
次へ
「やった! 強いんだね!」  お嬢様(?)の顔がぱっと華やぐ。その瞬間、あごに衝撃が走った。 ------------------------------------------------------------------------------- 「大変、申し訳ありませんでした!」  俺は校長室で頭を下げた。  えんじ色に金糸の織り込まれたじゅうたん、重厚な木製のテーブルと肘かけ椅子。天井からはシャンデリアが、俺を睨みつけてる。  いかめしい長方形のテーブルは1人用の小型で、小柄な校長がついていた。 「まあ、まあその、ね?」  校長の上には歴代校長の写真が並んでいる。どれもコワモテで、今の校長に似てる人は1人もいない。  テーブル横で仁王立ちしてる教頭の方が、同じ雰囲気を出している。うげえ、威圧感! 「グール先生、貴様はたわけかあ!」  アルマくんを殴ったのは暴力お嬢様だが、こういう時は教師の「監督不行き届き」になる。 「どしょっぱなから監督不行き届きで」  思ってるそばから教頭が言う。校長の声は小さかった。 「いいよいいよ、気にしないで」 「やった!」  暴力お嬢様が飛び跳ねる。このバカ嬢! 「お前は反省しろ!」 「やめてください、先生!」  アルマくん! 膝を打撲して、口もちょっと切れてるのに、どうしてこの子をかばうんだ。 「僕はいいんです」 「アルマ・ドラゴナン。怒るべき時は怒っていい」  教頭が言う。アルマくんは首を横に振った。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加