無力な入学式

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「だって、レイラちゃんはかわいいし!」  はあ? 「何言ってるんだこの子は」  教頭もあきれてる。アルマくんは爽やかにほほ笑んだ。 「レイラちゃん、僕と付き合おう」  いきなり告白! 親も教師もいる前で? なんつー大胆な子なんだ。 「えー無理」  いきなり失恋! 「初対面で、名前にちゃんづけっていうのがさー、キモいわ」  アルマくんは校長の息子、この学校では一番権力のある生徒だ。しかも顔もイケメン。なのにこの子は容赦ないな。 「そんなこと言っていいのかな?」  アルマくんがまたほほ笑む。笑顔なんだが、種類が変わった。悪者が企むような顔。 「今付き合えば、このことは内緒にしてあげる。嫌ならかまわないけど、即警察を呼ぶよ。また懲役になりたくないなら」 「いいよ」  あっさり手のひら返した。子供でも保身はするんだな。愛は全くなさそうだが。 「ありがとう! 今日から恋人だね」 「バッカじゃないの?」  お嬢様は顔をしかめていた。 「牢屋に入っても『いいよ』って意味」 「なんで!?」  アルマくんがうろたえる。
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