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『少女達の鎮魂歌』におけるミルクボーイ構文
『少女達の鎮魂歌』15ページ辺りを執筆中に、
どうしても頭から離れなかったネタを完成させてみた。
但し、オチてない。
少女達の鎮魂歌
https://estar.jp/novels/25766549
「オカンがな、可愛い半玉さん見掛けたらしいんやけど、どこの花街がわからんらしくてね」
「分からへんの?ほな俺が、オカンが見掛けた半玉さん、一緒に考えてあげるから、どんな特徴ゆうてたか教えて」
「足袋履いてなかったて言うねん」
「深川やないかい、その特徴はもう、完全に深川の辰巳芸者やがな」
「深川かぁ」
「すぐ分かったやん、こんなん」
「でもこれちょっと分からへんのやな」
「何が分からへんの」
「いや俺も深川の辰巳芸者と思うてんけどな」
「いやそうやろ?」
「オカンが言うには、羽織は着てはらへんねん」
「あー、ほな深川と違うかぁ。深川の辰巳芸者といえば、羽織やもんね」
「そやねん」
「深川はな、江戸時代、幕府公認やった吉原と違うて、非公認の岡場所で、幕府の目をごまかすために、女性を表向き男として雇い入れたいう歴史があるんや。ほんで、芸者さんが男物の羽織着るねん」
「そやねんな」
「深川が江戸の東南にあって、東南の方角を干支でいうと辰巳やからな、辰巳芸者いわれたんや。辰巳芸者ってそういうもんやから。ほな辰巳芸者ちゃうがなこれ」
「そやねん」
「ほな、もう一度詳しく教えてくれる?」
「たしか、男みたいな名前やったらしいねん」
「深川の辰巳芸者やないかい。男として雇い入れた歴史があるから、芸者さんの名前も『吉』とか『奴』とか付く男名やねん」
「まあねー」
「ほんであれよー意気と張りが看板で、気風のよさが売りやねん。俺は何でも知ってんねんから、辰巳芸者や」
「分からへんねん、でも」
「何が分からへんのこれで」
「俺も深川と思うてんけどな」
「そうやろ」
「でもオカンが言うには、東京ではないって言うねん」
「ほな深川の辰巳芸者ちゃうやないかい、深川は江戸や。江戸は東京や。オカンが東京ではないと言うんやから、辰巳芸者ちゃうがな」
「そやねん」
「先ゆえよ。歴史語ってた時どう思ってたんお前」
「申し訳ないよだから」
「ホンマに分からへんがなこれ、どうなってんねんもう」
「んでオトンが言うにはな」
「オトン?」
「島原ちゃうか?って言うねん」
「島原なら、見習いは半玉やのうて振袖太夫や」
「「ありがとうございましたー」」
深川の花街は既に無く、島原の振袖太夫さんも2014年に正式な太夫(葵太夫さん)になられて、令和の今、どちらも存在しない。
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