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「ああ、今ちょうど店の前を通りかかったからちょっと寄ってみたんだが……。邪魔したかな」
レオはちょっとバツが悪そうにしている。きっと姉妹の注文を取っているところだったので遠慮したのだろう。
「いえ、大丈夫です。少し待っていてくれますか」
「ああ、もちろんだ」
申し込み用紙を書き終えた姉妹は、レオに挨拶をした。
「「アロハー!」」
「アロハ、お二人さん。注文の邪魔して悪かったね」
「いえ、そんなー! ねえお姉ちゃん」
「うん、全然気にしてないわ」
姉妹はレオにチラチラと思わせぶりな視線を送りながら話をつなげている。
「お兄さん、カイのお知り合い?」
「ああ、友人さ」
「そうなのね! ねえ、私たちこれからそこのカフェでコーヒーでも飲もうと思っているんだけど……。よかったら2人も一緒にどう?」
姉の方がなんとレオと櫂をカフェに誘ってきた。
「あ、有り難いですが僕はお店があるので……」
「あ、そっか! 残念ー、カイと仲良くなりたかったのにー。ねえ、お兄さんはどう?」
櫂は急にお腹が痛くなった。
さっきまでなんともなかったのに、お腹の辺りがキュウキュウとしてくる。
レオに気付かれたらきっと心配してしまうだろう。
櫂はとっさに姉妹が書いた申し込み用紙をファイルに入れるそぶりをして、3人に背を向けた。
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