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姉妹はどうやらレオと仲良くなりたいらしい。グイグイと押しているのが背中越しにもわかる。
レオはさっきから一言も声を発していないが、2人とカフェに行ってしまうのだろうか。
(やだな、行かないで欲しい……)
だってレオは多忙な仕事の合間を縫って櫂に会いにきてくれたのだ。
たいして顔も見ないまま、サヨナラをするのは悲しすぎる。
そうは言ってもレオだって可愛らしい姉妹に誘われたら、悪い気はしていないだろう。
もしレオが櫂より姉妹といる方を選択したとしても、それを止める権利は自分にはない。
櫂が1人ヤキモキしているとレオが口を開いた。
「残念だが、俺も仕事中でね。また機会があれば」
2人はえーっ、とがっかりした声をあげる。
「あーん、残念! じゃあ2人とも今度ね」
「絶対よ! じゃあカイ、連絡待ってるね」
「はい、ありがとうございました」
そう言い残して姉妹は店を後にした。
「……連絡って?」
店のドアまで行って2人を送った櫂に、レオが声をかけてきた。
「え?」
「あの2人と連絡先を交換したのか?」
何故だか、レオの声が少し怖い。
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