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「え、だ、大丈夫ですか? 気分が悪いですか?」  慌ててレオの駆け寄ると、レオはぶつぶつと何かを呟いている。 「これだからカイはたちが悪い……悪い虫がつくまえにとっとと俺のものに……ああ、だめだ。カイの気持ちを聞いてからだ。耐えろ、耐えるんだ」 「えっと……レオ?」 「ふぅ……。ああ、もう大丈夫だ。ちょっと急な腹痛がな。おさまったから気にしないでくれ」  今日のレオはちょっとだけおかしな感じだ。  それでも会えたのは嬉しい。とっても嬉しい。心が跳ね上がっているのを感じる。 「最近会えなかったから、どうしているかと思って仕事の合間にちょっと寄ってみたんだ」  いつものレオの優しく落ち着いた声が店に響く。 「ありがとうございます! 実はちょっと会えなくて寂しいなって思っていたので嬉しいです」 「ああ、俺も寂しかった。今日は直接顔をみれて嬉しいよ」  そうして、2人で久しぶりにお喋りを楽しんだ。  10分ほどして、レオは仕事に戻っていく。  店の扉を開けたところでレオが振り返った。 「そうだ、危うく忘れるところだった。カイと前に約束していた殺害現場に散乱していた花だけど、鑑識から調査が終わったから引き取っていいと連絡がきたよ。少し時間が経ってしまったが、花はまだ元気だそうだ。今度都合のいい時に署に寄ってくれるかな」 「はい、ありがとうございます、そうします!」 「それじゃあ、署に来れる日がわかったら俺に連絡してくれるかい。準備しておくよ」 「はい!」  そうしてレオとは別れた。レオと会えた嬉しさとは裏腹に、先ほど芽生えた違和感が小さなトゲのように櫂の心に刺さったままだった。
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